Nintendo Switch 2の価格について、日本では「よく抑えた」「安い」と好意的な声が多く聞かれています。
しかし、アメリカをはじめとする海外では実はネガティブな反応も少なくありません。
本記事では、なぜ海外でSwitch 2の価格に対する不満が高まっているのか、その背景と理由を詳しく解説します。

「Nintendo Switch 2」の価格設定と海外の反響

Nintendo Switch 2は日本では49,800円(税込)で発売予定ですが、北米では449.99ドルとなっています。日本では当初6万円〜7万円という予想も出ていたため、実際の価格発表時には「任天堂よく頑張った」「予想より安い」という声が多く見られました。

一方、北米では状況が大きく異なります。米国でのSwitch 2の価格に対してはネガティブな意見が強く、先日放送された「マリオカートワールドダイレクト」の配信中には、チャット欄が「Drop the price!(値段を下げろ)」というコメントで埋め尽くされる事態となりました。

さらに、トランプ前大統領が発表した対中関税政策の影響で、アミーボなどの周辺機器が5ドルから10ドル値上げされたことも米国市場での不満を高める要因となっています。

北米で価格への反発が強い3つの理由

マリオカートダイレクトより

1. ソフト価格の大幅値上げ

Nintendo Switch 2の価格だけでなく、ソフト価格の値上げも大きな不満点となっています。
「マリオカートワールド」は日本ではダウンロード版が8,980円、パッケージ版が9,980円となっています。北米では79.99ドルでの発売が予定されています。

従来のNintendo Switchのマリオカートシリーズが約6,000円程度だったことを考えると、これは大幅な値上げです。特にマリオカートシリーズは歴代作品でほとんどが6,000円前後で発売されてきた経緯があるため、今回の価格設定は予想を大きく上回るものとなっています。otona-gamers

米国任天堂の社長であるダグ・バウザー氏は「各ゲームを見て、本当にゲームに投入された開発の量、ゲームプレイの幅と深さ、時間を経ての耐久性とゲームプレイ体験の繰り返し性などを考慮する」と価格設定の理由を説明していますが、ユーザーからの理解を得るには至っていません。

2. 他プラットフォームとの価格差の消失

日本ではPS5のデジタルエディションが72,980円のため、49,800円のNintendo Switch 2との間にはまだ明確な価格差があります。これに対し北米では両機種とも449.99ドルと同価格になっています。

PS5とSwitch 2は目指している方向性が全く異なるため単純な性能比較はできませんが、PS5と同じ価格であることが北米ユーザーには「高すぎる」と感じさせる大きな要因となっています。「ハイエンドゲーム機と同じ価格なのに性能は劣る」という印象を与えてしまっているのです。

3. 任天堂のイメージとのギャップ

日本でも「子供向けのゲーム機」というイメージが任天堂機には一定程度ありますが、アメリカではクリスマスプレゼントとして子供に任天堂のゲーム機を贈る文化が強く根付いています。
そのため、「子供向け」というイメージからは今回の価格設定が乖離してきていることが、不満の声につながっています。

高価格のゲーム機は「家族全員で楽しめる手頃な娯楽」から「高価な趣味」へと位置づけが変わってしまい、従来の任天堂ファンやファミリー層に受け入れられにくくなっている可能性があります。

トランプ関税の影響

最近の大きなニュースとして、トランプ前大統領の提唱する関税政策が任天堂製品にも影響を与えています。海外では一部の周辺機器に値上げが適用されましたが、注目すべきは本体価格は据え置きとなった点です。

任天堂は当初、米国での「Switch 2」の予約開始を延期しましたが、4月19日に北米での予約を4月24日から開始すると発表しました。本体価格は当初の449.99ドルを維持することも明らかにしています。

一方で、amiibo(アミーボ)などの周辺機器は5ドルから10ドル程度値上げされており、トランプ関税の影響が部分的に反映されています。

展望:価格に見合った価値を提供できるか

任天堂はかねてから「ハード・ソフト」一体型のビジネスモデルを展開してきました。Nintendo Switch 2と同時に「マリオカートワールド」が発売され、7月には前評判が高い「ドンキーコングバナンザ」も控えています。さらに将来的には「マリオ」シリーズや「ゼルダの伝説」、「どうぶつの森」、「スプラトゥーン」などの人気タイトルの新作も期待されています。

4月24日からプレオーダーが開始されますが、これらの価格設定が実際の売上にどのような影響を与えるかは、蓋を開けてみないとわかりません。
任天堂が今後、高い価格設定に見合った価値をユーザーに提供できるかどうかが、Nintendo Switch 2の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

補足:歴代マリオカートの価格比較

スーパーファミコン時代のマリオカートは約8,900円で、今回の価格設定に近いものがありました。しかし、その後のシリーズではN64の「マリオカート64」が4,800円、ゲームキューブの「マリオカートダブルダッシュ」が5,800円、Wiiの「マリオカートWii」が5,800円、Switch「マリオカート8デラックス」が5,980円と推移してきました。otona-gamers

歴史的に見ると、スーパーファミコン時代以来の高価格設定になっていることがわかります。
当時はROMカートリッジの高価格が主な要因でしたが、今回はグラフィックの向上や開発コストの増加、世界的なインフレ傾向なども価格上昇の背景にあると考えられます。

最終的には、Nintendo Switch 2とそのソフトラインナップが提供する体験の質が、この価格設定を正当化できるかどうかがポイントとなるでしょう。
国内外の市場での反応の違いを踏まえながら、任天堂の戦略の行方を見守りたいと思います。