Nintendo Switch2の詳細が発表され、価格設定も含めて大いに話題になっている。
概ね好意的に受け入れられているNintendo Switch2だが、不安な要素がないわけではない。その中でもNintendo Switch2のソフト価格が高いことに関しては国内・海外からも不安の声が上がっている。

本記事ではソフトの価格が高騰している理由と、過去の任天堂ハードの価格の比較を解説する。

Nintendo Switch2のソフト価格は値上げ

Nintendo Switch2の性能詳細が発表され、予想以上の性能に加えて本体価格がそこまで高価でなかったことが驚きだった。日本語版の「Nintendo Switch 2」は49,980円、「Nintendo Switch 2 マリオカート ワールド セット」は53,980円となり、多言語対応版は69,980円で設定されている。

ただ、ソフトの価格はこれまでの6,800円程度から8,800円〜9,800円のレンジへと値上げされていることが判明した。米国でもこれまで60ドル〜70ドルだったが、「マリオカートワールド」が80ドルで発売されることが公開されると米任天堂の公式番組「Nintendo Treehouse」には「価格を下げろ」という声が殺到した

海外掲示板Redditでもソフト価格が高いことに関して、批判の声が殺到している。

なぜソフトの価格が上がったのか、理由と過去ハードとの比較をしていく。

Switch2ソフト高騰の理由

米国任天堂の社長による説明

米国任天堂の社長であるダグ・バウザー氏はワシントン・ポスト紙のインタビューを受け、ソフト価格の設定について説明している。バウザー氏は「基準価格を設定していないこと」「トランプの関税は関係ないこと」をインタビューで答えていた。

バウザー氏は「可変価格設定(variable pricing)」という考え方を採用しており、ゲームごとに価格を設定していると説明している。「各ゲームを見て、本当にゲームに投入された開発の量、ゲームプレイの幅と深さ、時間を経ての耐久性とゲームプレイ体験の繰り返し性などを考慮する」とコメントしている。

特に『マリオカート ワールド』の80ドル(約9,800円)という価格設定については、「ベンチマーク(基準)ではない」と述べ、あくまでそのソフト独自の価格設定であることを強調した。一方でローンチタイトルとして同時発売される『ドンキーコング バナンザ』は標準的な70ドルで販売されることもあわせて説明している。ワシントン・ポスト

推測される背景

公式発表からは以下の要因が価格上昇の背景にあると考えられる:

  1. 開発費の高騰: 現代のゲーム開発費は年々増加傾向にある。高解像度のグラフィックや複雑なゲームプレイシステムの実装には、より多くの人員とリソースが必要となっている。
  2. 全世界的なインフレ傾向: 世界的なインフレ傾向により、企業の運営コストや原材料費なども上昇している。これがソフトの価格に反映されていると考えられる。
  3. コンテンツボリュームの拡大: 特に『マリオカート ワールド』に関しては、バウザー氏の発言から「これまでで最も豊かな『マリオカート』体験になるだろう」と述べており、コンテンツ量が大幅に増加していることが価格に反映されていると思われる。

スーファミの時も高かった?過去ハードとの価格比較

任天堂の歴代ハードとソフトの価格を比較してみると、興味深い傾向が見えてくる。以下に主要マリオシリーズタイトルの発売当時の価格を列挙する。

ハードタイトル価格発売年
FCスーパーマリオブラザーズ4,900円1985年
SFCスーパーマリオワールド8,000円1990年
SFCスーパーマリオカート8,900円1992年
64マリオカート644,800円(単品版)/ 9,800円(コントローラ付き)1996年
ゲームキューブマリオサンシャイン6,800円2002年
ゲームキューブマリオカートダブルダッシュ5,800円2003年
Wiiマリオギャラクシー5,800円前後2007年
WiiマリオカートWii5,800円2008年
Wii UNewスーパーマリオU5,700円2012年
Wii Uマリオカート86,270円2014年
Switchスーパーマリオオデッセイ5,980円2017年
Switchマリオカート8デラックス5,980円2017年
Switch2マリオカートワールド8,980円(DL版)/ 9,980円(パッケージ版)2025年

この比較から、特に注目すべき点はスーパーファミコン時代の価格設定である。1990年代初頭のスーパーファミコンソフトは7,000円〜8,000円台が一般的な価格帯であり、これはSwitch2のソフト価格帯と非常に近い

スーファミ時代のソフト価格高騰はROMが要因

スーパーファミコン時代の高価格の背景には、ROMカセットの高騰があった。当時のゲームカートリッジに使用されるROMチップは高価であり、特に大容量のソフトになればなるほど製造コストが上昇していた。

ゲーム業界.comによると、スーパーファミコンソフトの平均価格は9,419円とされており、この時代のソフトが特に高額だったことがわかる。これに対して、CD-ROMを採用したプレイステーションのソフト平均価格は5,714円と、媒体の違いが価格に大きく影響していた。ゲーム業界.com

スーパーファミコンで発売された主なタイトルの価格

 タイトル 価格 発売年
ファイナルファンタジーIV8,800円1991
ファイナルファンタジーV9,800円1992
ファイナルファンタジーVI11,400円1994
ドラゴンクエストV9,600円1992
ドラゴンクエストVI11,400円1995
クロノトリガー11,400円1995

スーパーファミコン後期になってくると、1万円を超えるソフトも当たり前になってきていました。
FF6、ドラクエ6、クロノ・トリガーは11,400円となっており、当時も高い印象でしたが他のゲームも軒並み1万円程度だったので、そこまで反発もなかった記憶です。
三国志や将棋などのソフトでは14,000円を超えるゲームも多く発売されました。

1991年には、ROMカセット価格高騰に対応するため、任天堂はソニーと共同でスーパーファミコン用CD-ROM周辺機器の開発を開始した経緯もある。結局、任天堂とソニーが一緒にハードを発売することはなかったが、これが後のPlayStationへとつながっていきます。

まとめ

  1. 価格設定の柔軟性: Nintendo Switch2のソフト価格は一律ではなく、コンテンツの内容や開発コストに応じて設定されている。すべてのソフトが8,800円〜9,800円になるわけではない。
  2. 歴史的に見れば高騰ではない: スーパーファミコン時代にも同様の価格帯のソフトが存在し、媒体コストの影響を受けていた。現代では開発費やインフレがその役割を担っている。
  3. 価値と価格のバランス: バウザー氏の発言にあるように、ゲームの「幅と深さ」「時間経過での耐久性」「繰り返し遊べる要素」などが価格設定の重要な要素となっている。消費者側も単純な価格だけでなく、提供される価値との関係で判断することが求められている。

Nintendo Switch2のソフト価格に対する懸念は理解できるが、歴史的視点や現代の開発環境を考慮すると、必ずしも異常な値上げではないことがわかる。

ただし、今後のソフトラインナップや価格設定が消費者にどのように受け入れられるかは、引き続き注目していく必要があるだろう。