Nintendo Switch 2の発売が2025年6月5日に迫る中、ハードウェア情報のリークが相次いでいます。
中国のインターネットオークションサイト「Xianyu」で約150ドル(約2万2000円)で出回ったとされるマザーボードの解析により、その中核となるNVIDIA製「Tegra T239」チップの詳細が明らかになりました。
本記事では、YouTuber「Geekerwan」による詳細な分析をもとに、Nintendo Switch 2の性能とゲーム体験の可能性について考察します。
ついに現る次世代機!Nintendo Switch 2の全貌に迫る

Tegra T239チップの核心部分
Geekerwanの分析によると、Nintendo Switch 2のメインプロセッサであるTegra T239チップは次のような特徴を持っています:
CPUスペック:
- 8つのARM Cortex-A78コア
- 各コアに256KBのL2キャッシュ
- 共有4MBのL3キャッシュ
- クロック速度:ドックモードで約1.0GHz、携帯モードで約1.1GHz
GPUスペック:
- NVIDIAのAmpereアーキテクチャ(RTX 30シリーズ相当)
- 1,536 CUDAコア
- レイトレーシングとDLSS(Deep Learning Super Sampling)対応
- クロック速度:ドックモードで約1,007MHz、携帯モードで約561MHz
- 演算性能:約1.7 TFLOPS(ドックモード)
メモリ:
- 12GB LPDDR5X RAM(8,533MT/s、128ビットインターフェース)
- 256GB UFS 3.1内蔵ストレージ(初代Switchの8倍)
製造プロセス:
- サムスンの8nm/10nmハイブリッドプロセス
- ダイサイズ:207平方ミリメートル(初代Switchの約2倍)
新情報:12GB LPDDR5Xメモリの詳細スペックとゲームへの影響
通関時の積荷目録から判明した情報によると、Nintendo Switch 2のメモリー構成についてさらに詳細な情報がわかっています:
- メインメモリーは「MT62F768M64D4EK-026」というMicron製のLPDDR5モジュール
- 速度は7,500 MT/s(Geekerwanの報告よりやや低い値)
- 各モジュールは64ビットバス幅で6GBの容量
- 2枚のメモリーモジュールを搭載し、合計128ビットバス幅と12GBのメモリー容量を実現
この12GBという容量は、レイトレーシングなどの高度なグラフィック処理に対応するために必要な量であり、また、PS5やPC向けに展開されるゲームをSwitch 2でも展開しやすくするための余裕を持った設計だと考えられます。
初代Switchの4GBから大幅に増量されたことで、より複雑で大規模なゲーム世界が実現可能になります。
大容量256GBストレージ:ダウンロード時代のゲーム環境へ
積荷目録からはストレージ情報も判明しており、「THGJFGT1E45BAILHW0」というKioxia(旧東芝メモリ)製の256GB UFS 3.1ストレージが採用される見込みです。
これは初代Switchの32GBから8倍の容量増加を意味し、デジタルゲームのインストールやゲーム内データの保存に大きな余裕をもたらします。
パフォーマンス比較

Geekerwanのベンチマークシミュレーションによると、Nintendo Switch 2の性能は以下のように比較できます:
GPUパフォーマンス:
- ドックモード:NVIDIA GTX 1050 Ti相当(DLSS機能込み)
- 携帯モード:NVIDIA GTX 750 Ti相当
- 初代Switchと比較して約7倍の性能向上(DLSS使用時で約10倍)
- iPhone 15 Pro(A17 Pro)よりやや高性能
- Apple M1と同等
- Snapdragon 8 Eliteよりやや低性能
- Steam Deckとほぼ同等(携帯モードではやや劣る)
CPUパフォーマンス:
- 初代Switchと比較して約6倍の性能向上
- Steam Deckの約66%の性能
- Snapdragon 855とApple A12の間の性能
- 10年前のIntel i7 Haswell相当
ゲーム性能の実際

シミュレーションによると、Nintendo Switch 2では以下のようなゲーム体験が期待できます:
サイバーパンク2077:
- ドック品質モード:1080p出力(720pレンダリング)、DLSS Quality、30FPS
- ドックパフォーマンスモード:1080p出力(540pレンダリング)、DLSS Performance、40FPS
- 携帯品質モード:720p出力、DLSS Quality、30FPS
- 携帯パフォーマンスモード:720p出力(360pレンダリング)、DLSS Performance、40FPS
ブラックミスト悟空:
- ドックモード:1080p、低設定、DLSS Balanced、30FPS
- 携帯モード:720p、低設定、DLSS Ultra Performance、30FPS未満
モンスターハンターワイルド:
- 現状のシミュレーションでは満足な性能が出ない(最適化が必要)
キングダムカム・デリバランス2:
- ドックモード:1080p、中設定、DLSS Performance、30-40FPS
- 携帯モード:720p、中設定、DLSS Performance、30FPS
Call of Duty Black Ops 6 / Warzone 2.0:
- ドックモード:1080p、低設定、DLSS Ultra Performance、50FPS以上
- 携帯モード:720p、DLSS Ultra、40FPS以上
性能向上の鍵:DLSS技術と12GBメモリの重要性

DLSSとは?Switch 2のグラフィックを飛躍的に向上させる技術
Nintendo Switch 2の性能向上において特に注目すべきは、NVIDIAのDLSS技術の採用です。
これは人工知能を使って低解像度の画像を高解像度に変換する技術で、実際のレンダリング解像度よりも高品質な映像を提供します。
Geekerwanの分析によると、特に携帯モードでは360pという非常に低い解像度からでも、DLSSによって驚くほど良好な720p映像が生成されています。
これはNintendo Switch 2がハードウェア性能の制約を克服し、現代的なゲーム体験を提供するための重要な要素となります。
12GBメモリがもたらす革新:よりリッチなゲーム体験の実現
12GBという大容量メモリーの採用は、Nintendo Switch 2がより高度なゲーム体験を提供できることを意味します。特に以下の点で重要な意味を持ちます:
- レイトレーシング対応:リアルタイムのレイトレーシング処理は多くのメモリーを必要とするため、12GBの容量はこの機能を実現するための基盤となります。
- クロスプラットフォーム開発の容易化:PS5やPC向けに開発されたゲームをSwitch 2に移植する際、メモリー制約が大きな障壁となりますが、12GBのメモリーがあればこの障壁を大幅に軽減できます。
- オープンワールドゲームの実現:GTA VIのような大規模オープンワールドゲームでは、広大なゲーム世界のデータをメモリーに保持する必要があり、12GBのメモリーがあればこうしたタイトルの移植も現実的になります。
ただし、メモリーの増量、特に2024年以降のLPDDR5の価格高騰や、256GBストレージの採用により、Nintendo Switch 2の販売価格が上昇する可能性も懸念されています。
CPU性能の最適化:コンソールならではの強み
Nintendo Switch 2のCPUは、現代の高性能スマートフォンと比較するとやや見劣りしますが、コンソールゲーム機としては十分な性能を持っています。
重要なのは、コンソール機器では単一のハードウェア構成に対して最適化が行われるため、PCやモバイル機器よりも効率的にCPUリソースを活用できる点です。
分析によれば、サイバーパンク2077のような要求の厳しいゲームでも、最適化されたビルドであれば30-40FPSのCPUフレームレートを達成できる可能性があります。
特にDoomエターナルのような高度に最適化されたゲームでは、120FPSの滑らかなゲームプレイさえ可能かもしれません。
Nintendo Switch 2が切り拓く次世代ゲームの世界
Nintendo Switch 2のTegra T239チップは、初代Switchから大幅に性能が向上し、現代のAAA級ゲームタイトルを楽しめるレベルに達しています。
CPUパフォーマンスはやや控えめですが、コンソール向けの最適化により十分なゲーム体験を提供できるでしょう。
2025年6月5日の発売を控え、Nintendo Switch 2は携帯ゲーム機としての利便性を保ちながら、より高度なゲーム体験を提供する次世代機として期待が高まっています。