任天堂が2025年6月5日に発売する「Nintendo Switch 2」について、その性能や新機能が明らかになってきました。

「エルデンリング」や「サイバーパンク2077」が発売されるため、携帯機ながらもパワフルなグラフィック性能に特に注目が集まっています。
「PS4やPS5の性能と比べてどの程度の性能なのか?」と気になっている人はいるのではないでしょうか?

本記事では、「Nintendo Switch 2」の性能がどの程度のものなのか、PS4やPS5、その他のGPUとの比較を交えながら解説していきます。

「Nintendo Switch 2」の性能についの情報を他機種と比較しながら把握することができます。

初代Switchのコンセプトは「スマホとゲーム機・PCの間」

前機種である「Nintendo Switch」は開発者のインタビューで語られている通り、「スマホゲームとPSやPCのゲームの良いところを兼ね備えたコンセプト」として設計され、特に持ち運びができる点が大きなポイントでした。

しかし、CPUやGPUの性能が向上すればするほど、それに伴って消費電力も増加します。そのため、携帯機として設計される時点で「消費電力」という超えられない壁が立ちはだかることになります。


初代Switchは、常に電力が供給できる据え置き型のPlay Station 4やXbox Oneには、性能面で大きく劣っていました。

その結果、初代Switchでは多くのマルチプラットフォームゲームが低解像度・低フレームレートでの提供となったり、あるいは移植自体を見送られるケースも少なくありませんでした。

「Nintendo Switch 2」でも同様に携帯機であることから、大きな性能向上は見込めないと思われていました。

ところが、2025年4月2日に配信された「Nintendo Switch 2 ダイレクト」では、オープンワールドかつ高負荷で知られる「エンデンリング」や「サイバーパンク2077」が「Nintendo Switch 2」で発表され、世界中で大きな衝撃を与えました

「Nintendo Swtich 2の性能はどれほどなのか?」と、多くの人が注目しましたが、
Nintendoの公式サイトに掲載されている仕様表上では、CPU・GPUについては「NVIDIA製カスタムプロセッサ」であるという記載のみで、詳細は明かされていません。

そこで今回は「Nintendo Switch 2」のCPU/GPUを制作したNvidiaのブログで明かされた情報を元に、「Nintendo Switch 2」の性能をPS4、PS5、PC向けGPUと比較していきます。

初代Switchとの比較すると10倍のグラフィック性能!

NVIDIAの公式ブログによると、Switch 2は初代Switchの「10倍のグラフィックスパフォーマンス」を実現するとされています。

「Nintendo Switch」の10倍のグラフィックスパフォーマンスを備え、「Nintendo Switch 2」は、よりスムーズなゲームプレイとより鮮明な映像を提供します。
引用:NVIDIA公式ブログ

初代Nintendo SwitchもNvidia製で、処理能力はドック接続時で約0.39TLOPS、携帯モード時で0.17TFLOPSでした。※TFLOPS(テラフロップス)=1秒間あたりの浮動小数点円座回数=処理能力

単純に性能を10倍にした場合、「Nintendo Switch 2」の処理能力はドック接続時で約4.0TFLOPS、携帯モード時で1.7TFLOPSということになります。

この数値をもとに他のゲーム機やGPUと比較します。

PS4、PS4pro、PS5とSwitch2の性能を比較

性能順に各ゲーム機やGPUを並べていきます。

ゲーム機・GPU描画性能
Nintendo Switch(携帯モード時)0.15 TFLOPS
PlayStation 30.2 TFLOPS
Nintendo Switch(ドック接続時)0.39 TFLOPS
Steam Deck1.6 TFLOPS
 Nintendo Switch 2(携帯モード時・推定) 1.7 TFLOPS
PlayStation 41.84 TFLOPS
 Nintendo Switch 2(ドック接続時・推定) 4.0 TFLOPS
PlayStation 4 Pro4.2 TFLOPS
NVIDIA GTX 16605.0 TFLOPS
PlayStation 510.28 TFLOPS
NVIDIA RTX 306012.74 TFLOPS
PlayStation 5 pro16.7 TFLOPS
NVIDIA RTX 307020.31 TFLOPS

「Nintendo Switch 2」の処理性能は「携帯モード時でおおよそPS4相当」、「ドック接続時でPS4pro相当」になります。事前のリークでも「PS4〜PS4proの間くらい」との情報がありましたが、近い数値になりそうです。

それほど高い性能ではないかもしれませんが、同じ携帯ゲーム機であるSteam Deck」も約1.6TFLOPSの性能で「エルデンリング」や「サイバーパンク2077」のような重量級タイトルを快適にプレイすることが可能です。

「Nintendo Switch 2」向けのソフトは専用に最適化・カスタマイズされているため、同程度のスペックを持つPCよりも高い実効性能を発揮することが期待されます。

例えば、通常のPS5は理論性能ではRTX3060に劣るとされていますが、実際にプレイしてみるとPS5の方が快適に感じるケースも少なくありません。(最近発売されたモンハンワイルズも、ミドルスペックのPCよりPS5の方が快適に動作すると言われています)

さらに、「Nintedo Switch 2」に搭載されるNVIDIA製プロセッサには、RTXシリーズの技術が搭載されており、純粋な描画性能を超える価値を提供できる可能性もあります。

レイトレ・DLSSによってゲーム体験はPS4pro以上になる可能性も

前述のNvidiaの公式ブログでは「Nintendo Switch 2」に専用の「RT コア」と「Tensor コア」が搭載されていることも明かされています。これらは、次世代のグラフィックス体験を支える重要な要素となります。

 Tensor コアAI を活用したグラフィックスを加速
DLSS、ビデオチャット時のフェイストラッキングや背景除去
 RT(レイトレーシング) コアリアルタイムレイトレーシングを実現

Tensorコアにより、DLSSが利用可能になります。これはNVIDIAのAI技術で、低解像度で描画した画像をAIが高解像度にアップスケーリングすることで、画質を保ったままパフォーマンスを向上させることができるものです。

たとえば、携帯機モード時ので720pの解像度のであっても、DLSSのアップスケーリング機能によって、高解像度の映像と遜色のない映像になることが期待できます。

NVIDIA G-SYNC技術による可変リフレッシュレート(VRR)もサポートしているため、画面のティアリング(映像の引き裂き)のない滑らかなゲームプレイを実現します。

RTコア(Ray Tracing Core)も搭載され、リアルタイムレイトレーシングをサポートします。これにより、より自然な光の反射や影の表現が可能になります。

このように、DLSSによる高効率なAIアップスケーリングと、RTコアによるリアルな光表現の組み合わせによって、「Nintendo Switch 2」はスペック表以上の描画性能を発揮できる可能性があります。
特に4K出力時には大きな恩恵があるでしょう。

CPU・GPUに合わせてメモリとディスプレイの性能も大幅パワーアップ

メモリ

メモリについては公式に数値は言及されていませんが、開発者インタビューでは「今回は特にアグレッシブにメモリー容量を増やしています。」と話しています。

今回ローンチタイトルになっている「マリオカートワールド」は「オープンワールドのフィールドを最大24人でレースを実施する」という極めてメモリ使用量の高いスタイルになっています。
「マリオカート ワールド」含めてオープンワールドのゲームが多数発表されていることから、「Nintendo Switch 2」のメモリはかなり大幅に増強されていると想定されます

噂されていた「12GB LPDDR5」のメモリを搭載していれば、初代Switchの4GBから3倍ということになります。

 参考:各ハードのメモリ容量
初代Nintendo Switch4GB LPDDR4
Steam Deck16GB LPDDR5
PS4、PS4pro8GB GDDR5
PS516GB GDDR6

ディスプレイ

Switch 2は、TVモードでは最大4K、携帯モードでは1080p(初代Switchの720pから向上)でのゲームプレイをサポートします。また、最大120fpsのフレームレートに対応しており、初代Switchの30fps/60fpsと比較して、より滑らかな動きが期待できます。

大幅にパワーアップしたCPU・GPU、メモリの性能を十分に発揮できる性能になっています。

順当にスペックアップし、最高の携帯型ゲーム端末に

「Nintendo Switch 2」は、初代Switchから大幅な性能向上を果たし、ドック接続時はPS4 Pro相当のグラフィック性能を持つゲーム機として登場します。
また、DLSSやレイトレーシングといった最新技術をサポートすることで、実際のゲーム体験ではさらなる向上が期待できます。

もちろん、PS5やPS5 Proと比較すると性能差はありますが、任天堂らしい創意工夫と新技術の活用により、素晴らしいゲーム体験を提供できる可能性を秘めています。

携帯モードと据置モードを切り替えられるハイブリッドデザインという強みはそのままに、より多くのゲームタイトルが「Nintendo Switch 2」で発売されることを期待しましょう。