2025年5月23日、全世界で3,000万本の売上を誇る人気アクションRPG『エルデンリング』の映画化が正式に発表されました。
監督には『エクス・マキナ』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』で知られるアレックス・ガーランド氏、プロデューサーには原作ゲームの世界観設定に携わったジョージ・R・R・マーティン氏が就任することが決定。
制作は『ミッドサマー』『ムーンライト』などで知られるA24が手がけます。
発表直後からSNS上でも大きな話題となり、「ストーリーはどうなるのか?」「主人公は誰か?」といった予想が飛び交っています。
『エルデンリング』とは
『エルデンリング』は、フロム・ソフトウェアの宮崎英高氏とファンタジー小説『氷と炎の歌』の作者ジョージ・R・R・マーティン氏が世界観を構築したアクションRPGです。
「狭間の地」と呼ばれるダークファンタジー世界を舞台に、主人公である「褪せ人」が失われた「エルデンリング」を求めて冒険を繰り広げる物語です。

ゲームでは広大なオープンワールドでの自由度の高い探索と、フロム・ソフトウェア特有の手強いボス戦が特徴的。
プレイヤーは自分だけの「褪せ人」を作成し、それぞれ異なる冒険を体験することができます 。
アレックス・ガーランド監督作品の特徴

アレックス・ガーランド監督は、哲学的な問いを投げかけるSFやホラー作品で知られています。
従来のファンタジーが持つような「異世界」「神秘」「不可解な現象」といった要素を、独自の視点で表現することに長けており、エルデンリングの世界観との親和性が高いと期待されています。
代表作から見るガーランド監督の「世界観構築力」と「哲学的テーマ」
アレックス・ガーランド監督は、そのキャリアを通じて、単なる物語の語り手にとどまらず、観客に深く思考を促す哲学的問いを投げかけ続けています。
彼の作品群は、SF、ホラー、スリラーといったジャンルを横断しながらも、一貫して人間の意識、存在の意味、そして社会のあり方を鋭く問い直すテーマが根底に流れています。
- 『エクス・マキナ』(2014年 / 監督・脚本)
人工知能の「アヴァ」の存在は、単なるロボットを超えた意識の萌芽と自己認識の探求を描き出します。観客は、人間とAIの境界線、そして「魂」と呼べるものの本質について深く考えさせられます。
サイエンス・ファンタジー的な美しさと同時に、AIの予測不能な行動がもたらす倫理的ジレンマと畏怖が作品全体を覆い、ガーランド監督特有の不穏な雰囲気を際立たせています。

- 『アナイアレイション -全滅領域-』(2018年 / 監督・脚本)
突如現れた「シマー」と呼ばれる未知の領域が、生物や風景を異質なものに変容させていく様は、視覚的に圧倒的なインパクトを与えます。
この作品は、ダークファンタジー的な神秘性を帯びつつも、科学的な説明を超越した不可解な現象と、それによる人間の変容を描きます。
ファンタジー要素を含んだ映像表現は映画版「エルデンリング」でも期待されますね。

- 『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(2024年 / 監督・脚本)
現代アメリカの内戦という衝撃的な設定を通じて、ジャーナリズムの役割、国家の分断、そして現代社会における暴力の連鎖とその影響を冷徹なリアリズムで描き出します。
彼の作品に共通する重厚なテーマと緊張感のある演出が際立ち、単なるアクション映画にとどまらない、社会への鋭い警鐘を鳴らしています。
映画版『エルデンリング』と同様にA24制作となっており、大規模な戦闘も含めた映像表現が注目の作品です。

これらの作品は、アレックス・ガーランド監督が単にエンターテイメントを提供するだけでなく、深い考察と問いかけを通じて、観客の内面に訴えかける独自の作品世界を築き上げていることを示しています。
彼の多岐にわたる表現力が、『エルデンリング』の映画化にどのような新たな視点をもたらすのか、期待が高まります。
映画版『エルデンリング』の主人公は誰に?褪せ人は登場するのか?
「褪せ人」は映画の主人公に不向き?
ゲーム「エルデンリング」の主人公である褪せ人には、映画化において以下のような課題があります:
- 基本的にゲーム内では喋らない:プレイヤーの分身として設計されているため、セリフがほとんどありません
- どこからともなく現れた孤高の存在:映画の主人公にするには詳細な背景設定を追加する必要があります
- プレイヤーそれぞれが主人公:ゲームはプレイヤーそれぞれが自分だけの「褪せ人」を作成するため、そのまま映画化することは困難です
- 基本一人で敵を倒してしまう:ゲームの仕様上、褪せ人は単独行動が基本のため、映画的なドラマ性のあるストーリー軸が作りづらいという問題があります
本編登場人物も主人公には向かない?

魔女ラニ、主人公の従者メリナなど、魅力的なキャラクターが多い本作ですが、それぞれのキャラクターに深いバックグラウンドがあり、固有のストーリーがあるため、主人公にするのは難しそうです。
ただし、同じ世界観であるならば、主人公ではなくても本編の登場人物や設定(円卓や黄金律)が登場することは大いに考えられるでしょう。
狭間の地を舞台にしたオリジナルストーリーの可能性

最も現実的なのは、エルデンリングの世界観である「狭間の地」を舞台にした完全オリジナルストーリーです。
ジョージ・R・R・マーティン氏が構築した豊富な神話的背景を活用すれば、ゲーム本編とは異なる新たな物語を紡ぐことが可能です。
- 円卓に集う「褪せ人」含む複数の仲間による黄金律の復活を目指す物語
- 黄金樹信仰以前の古き時代、忘れられた神々の物語
- 魔術学院レアルカリア、あるいは火山館の秘匿された物語
- 「狂い火」や「死の根」といった、世界の「負の側面」を深く掘り下げる物語
- 「忌み子」や「亜人」など、世界の裏側に生きる者たちの物語
様々な勢力がと登場する本作、ストーリーの中心をどうするか悩みどころですね。
SNSで予想されているストーリーまとめ
映画化発表後、SNS上では様々なストーリー予想が飛び交っています。特に人気が高いのは以下の前日譚です 。
破砕戦争
エルデンリングが砕かれた後、女王マリカの子供たちであるデミゴッド(ラダーン、マレニア、ライカードなど)が大ルーン(エルデンリングの欠片)を巡って争った大規模な戦争です。
この戦争のクライマックスとして期待されているのが、デミゴッドたちの中でも傑出した力を持つ「星砕きのラダーン」と「腐敗の女神マレニア」の壮絶な戦いです。
この戦いは狭間の地全体に甚大な影響を与えた歴史的な出来事として、多くのファンが映画化を望んでいます。
陰謀の夜
女王マリカを戴く「狭間の地」で、女王マリカの子であるデミゴッドの1人、ゴッドウィンが何者かの手により暗殺された事件です。そして「黄金律」の象徴である《エルデンリング》が砕かれました。
この日を境に女王マリカも姿を消し、この出来事が後の世で「陰謀の夜」と呼ばれ、狭間の地は混迷を極めることになります。
SNS上では「破砕戦争」や「陰謀の夜」を描く前日譚を望む声が多数見られ、これらの重大な歴史的出来事が映画の中心になると予想されています。
まとめ:アレックス・ガーランド監督が創造する新たな『エルデンリング』の世界
エルデンリングの映画化は、ゲーム本編をそのまま映像化するのではなく、アレックス・ガーランド監督の独特な演出力とジョージ・R・R・マーティン氏の豊富な世界観設定を活かした新たな物語になる可能性が高いでしょう。
特に「破砕戦争」や「陰謀の夜」といった前日譚は、壮大なスケールと深いドラマ性を持ち、映画化に最適な題材と考えられます。
A24の洗練された制作力と相まって、原作ファンはもちろん、映画ファンにも満足できる作品になることが期待されます。
具体的な制作スケジュールやキャスト情報はまだ発表されていませんが、今後の続報に注目が集まります。狭間の地の壮大な世界が、どのように映像作品として蘇るのか、多くのファンが期待を込めて続報を待っています。