2025年6月5日、CD Projekt REDの人気オープンワールドRPG『サイバーパンク2077 アルティメットエディション』がNintendo Switch 2(Switch2)のローンチタイトルとして登場します。
発売時はパフォーマンス問題から数年がかりの改善を重ねた本作ですが、Switch2版では携帯機としては異例ともいえるDLSS対応や複数の描画モードを搭載し、プレイスタイルに応じたグラフィック最適化が実現されるとのことです。
さらに今回は、同じく携帯型ゲーム機として注目されるSteam Deckとの比較にも触れつつ、Switch2版のフレームレートや画質の実力を明らかにしていきます。
Switch2版『サイバーパンク2077』は全モードでDLSS使用
『サイバーパンク2077』は、発売当時こそ旧世代機でのパフォーマンス問題が話題となりましたが、その後のアップデートや拡張DLC「ファントムリバティ」の成功により、高品質な近未来オープンワールドRPGとして再評価されました。
その最終形態ともいえるアルティメットエディションが、任天堂の新ハードSwitch2に対応することは、技術的にも大きな注目を集めています。
特に今回話題になっているのは、全モードでDLSSを活用し、フレームレートが30fps〜40fpsで安定するという仕様。携帯型でありながら、据え置き機に匹敵する映像表現が可能なのか? その真価を探ります。
DLSSとは?Switch2の映像体験を支えるAI技術
DLSS(Deep Learning Super Sampling)とは、NVIDIAが開発したAIベースの画像アップスケーリング技術です。もともとはPC向けのGeForce RTXシリーズで導入されたもので、近年ではPS5やXbox Series Xといった次世代機にも匹敵する画質を省電力・低処理負荷で実現できる技術として注目を集めています。
DLSSの仕組みは、内部的に低解像度で描画した映像を、AI(ニューラルネットワーク)を活用して高解像度相当に再構築するというもの。これにより、GPUの負荷を抑えながら、見た目には高精細な映像を表示することができます。
たとえば、ゲームが内部では540pや720pで描画されていても、DLSSを介せば1080p相当の鮮明な画像として出力可能になります。この処理は、NVIDIAのTensorコアと呼ばれるAI演算専用のハードウェアで高速に行われるため、処理時間も最小限で済みます。
Switch2版『サイバーパンク2077』では、このDLSSをすべてのモード(携帯・TV/画質優先・性能優先)で使用しており、携帯機でありながら据え置き機に近いクオリティを実現できている大きな理由となっています。
また、DLSSは単なる解像度の補完だけでなく、過去フレームやモーションベクトルの情報を活用することで、より自然で滑らかな映像処理を可能にする点も特徴です。
特に動きの多いシーンでもブレやにじみを抑えることで、ゲーム体験のクオリティを底上げしてくれます。
Switch2版の『サイバーパンク2077』は4種類のモードから選択

CD Projekt REDによれば、Switch2版『サイバーパンク2077』では以下の4種類の描画モードが選択可能です:
- TVモード(品質優先):1080p / 30fps
- TVモード(パフォーマンス優先):1080p / 40fps
- 携帯モード(品質優先):1080p / 30fps
- 携帯モード(パフォーマンス優先):720p / 40fps
この全モードでNVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)を活用しており、内部解像度が低い状態でも、AIによって高品質な映像へとアップスケーリングされます。
例えば、内部描画解像度が540pでも、DLSSを使って1080p相当の映像を出力可能にし、GPU負荷を軽減しつつ高画質を保つことができます。特に携帯モードで1080p出力が可能という点は、これまでの任天堂ハードには見られなかった進化です。
最大フレームレートは40fpsに設定されており、これはSwitch2が120HzディスプレイおよびVRR対応であることを前提とした仕様。結果として、Steam Deckよりもフレームレートは低めですが、安定性と滑らかさを両立した設計になっています。
Switch2版「サイバーパンク2077」のプレイ映像
世界各地で行われているNintendo Switch 2の体験会では「サイバーパンク2077」もプレイ可能です。
気になる方はSNSの動画もチェックしてみてください。
実際にNintendo Switch 2上で動作する「サイバーパンク2077」を確認することができます。
Steam Deck版との違い

Steam Deckでも『サイバーパンク2077』はプレイ可能であり、実際にベンチマークを行ったところ、
- 平均フレームレート:39.63fps
- 最低:17.55fps、最大:63.22fps
という結果でした。特に画質を下げた設定でも60fpsを維持するのは困難であり、シーンによってフレームレートが大きく変動する傾向にあります。
また、Steam DeckではAMD FSR 2によるアップスケーリングが使われているものの、DLSSほどの画像再構築精度はなく、画質的にはやや劣ります。グラフィック設定も低〜中程度に抑える必要があるため、快適な動作と引き換えにビジュアル面では犠牲が出がちです。
Switch2版は一方で、開発元によって事前に調整された最適化構成が施されており、プレイヤーは設定に悩むことなく、一定の品質とパフォーマンスを維持したまま快適に遊ぶことができます。
加えて、Switch2ではタッチ操作やモーション操作など独自のUIサポートが予定されており、携帯ゲーム機としての操作性・快適性にも配慮された設計がなされています。
レイトレーシング(RT)非対応の理由と両機の共通点
ここで注目したいのがレイトレーシングの有無です。
Switch2にはNVIDIA製の最新GPUが搭載されており、ハードウェア的にはレイトレーシング(RT)コアも含まれているとされますが、本作ではレイトレーシングは使用されていません。
これはSteam Deck版と同様で、レイトレーシングはハードウェア負荷が非常に高いため、携帯機での安定したパフォーマンスとの両立が難しいのが主な理由です。
そのため、Switch2版・Steam Deck版ともにスクリーンスペースリフレクション(SSR)や通常のシャドウマッピングによって代替表現がなされており、PCのウルトラ設定やPS5/Xbox Series XのRT表現には及びません。
しかしながら、Switch2版はDLSS、Steam Deck版はFSRによるアップスケーリング処理のおかげで、非RT環境でも十分にリッチで没入感あるグラフィック表現が実現されている点は特筆すべきでしょう。
Switch2版は「安心して遊べる高品質携帯体験」
『サイバーパンク2077』がSwitch2で全モードDLSS対応し、携帯モードでも1080p / 30fps出力を可能にしたことは、任天堂ハードの進化を象徴する技術的マイルストーンといえるでしょう。
Steam Deckのような自由度や細かなカスタマイズ性はないものの、Switch2版は安定した品質とパフォーマンスを約束された形で提供されており、手軽に『サイバーパンク2077』の世界を楽しみたいプレイヤーには最適な選択肢です。
6月5日のローンチ時には、携帯機としての常識を覆す高品質なナイトシティが、あなたの手の中に広がることでしょう。