この記事では、ファミコン版「スペランカー」がクソゲーだったのか改めて検証する。

「スペランカー」は本当にクソゲー」なのか?

「スペランカー」と聞くと、すぐに「クソゲー」という評価が思い浮かぶ人も多いと思う。子どもの頃、まともに進めずにイライラして投げ出した経験がある人も多いのでは?

でも、本当に「スペランカー」はクソゲーなのでしょうか? もしかしたら、今改めてプレイしてみれば評価も変わるのでは? というのが、今回のテーマです。

私はこれまでにファミコンから始まり、現在に至るまで様々なゲームをプレイしてきました。
今改めてプレイすることで、スペランカーが本当はどんなゲームだったのか、検証していきたいと思います。

本当に理不尽なだけのゲームなのか?
スペランカーが評価される理由とは?
実は奥深いゲームデザインが隠されている?

このようなポイントを知ることで、「スペランカー」に対する見方がガラッと変わるかもしれません。
40年間も「クソゲー」と言われ続ける「スペランカー」の本当の魅力を探していきましょう。

スペランカー 1985年発売
主人公の探検家を操作して洞窟を探検する2Dアクションゲーム。洞窟の中には様々な仕掛けやカギ付き扉があり、主人公は落ちているアイテムを集めながらそれらを突破していく。

スペランカーはクソゲーか?

結論:クソゲーでは無い。むしろ良ゲー。

元祖クソゲーとしても「スペランカー」の名前が出てくることがあるが、今回改めてプレイした結果、私は全くそうは思わないという結論に至った。
シビアな操作が要求されるが、ステージギミックと隠しアイテム、ポップなグラフィックと音楽も合わせて「名作」と言っても差し支えないのではないか?

そんな「スペランカー」がなぜ「クソゲー」と呼ばれることになったのか考えてみる。

身長の半分から落ちると死んでしまう最弱の主人公

「スペランカー」の主人公は16ドットで作成されている、14ドット以上の段差から落ちると死んでしまう。分かりやすく主人公の身長が160cmとすると140cmの高さから落ちると死ぬ計算だ。
140cmであれば打ちどころによっては実際危ないかもしれないが、「スペランカー」の場合、足から落ちても確実に死んでしまう。

段差はもちろんのこと、ちょっとした下り坂でジャンプしても着地ができない。当たり判定もかなり厳し目で、敵の攻撃を避けたつもりでも(実際に見た目では当たっていなくても)死んでしまう。
ゲームスタート直後にゴンドラから降りようとして失敗する(あるある)。常に緊張感と隣り合わせのプレイが要求される。

ため、その弱さと難易度はじわじわと口コミで広まり、「どうにかしてクリアしたい」という思いを生んだ。
筆者も子供時代にプレイしたが、全くクリアすることができなかった。

関連;現代にも残る「スペ」という言葉

スペランカーの主人公が余りにも弱かったため、怪我がちなスポーツ選手に対しても「スペ体質」という言葉が使われることがある。当時のゲームを知らない人でも怪我がち=スペという認識になっているので、言葉だけ残ってしまっている稀有なゲームとも言える。「スペ体質 意味」などと検索のサジェストに出てくるのはゲームを知らない世代からの検索だと思われる。

発売当時(1985年)の状況

スペランカーの発売日は1985年12月7日。1985年といえば言わずと知れた「スーパーマリオブラザーズ」が発売された年だが、その他にも今に語り継がれる名作タイトルが多く発売された。

1985年発売のタイトル(一部抜粋だが、相当な名作揃いであることがわかる)

バルーンファイト
アイスクライマー
イー・アル・カンフー
けっきょく南極大冒険
忍者くん 魔城の冒険
スパルタンX
ELEVATOR ACTION
ドルアーガの塔
バトルシティー
スーパーマリオブラザーズ
チャレンジャー
忍者じゃじゃ丸くん
いっき
ポートピア連続殺人事件
スターラスター
超時空要塞マクロス
スペランカー
ボンバーマン
エグゼドエグゼス

1983年の発売ソフトは9本、1984年の発売ソフトは20本だったのに対し、1985年は69本と3倍以上になっている。ファミコン発売の1983年から2年が経って、ファミコン自体が一大ブームになっていた状況。各社猛烈な勢いでゲームを発売しているのが分かる。

当時のゲームは高難易度が主流だったが、スペランカーは特にシビアで、「ちょっとした段差で死ぬ」「ジャンプのタイミングを少し間違えただけで即死」など、あまりにもデリケートな操作性が話題を呼んだ。その結果として「クソゲー」のレッテルを貼られてしまったのだと思われる。

謎:誰がスペランカーを買っていたのか?

しかし、これだけ名作揃いのタイトルの中で「スペランカー」を買ったのは誰だったんだろうか。
当時ファミコンをプレイしていたのは小学生だったので、何本も買えなかったはずだ。
その中でスペランカーを買った人は誰だったのか、今更気になってきた..。
もし、買ってた人がいるのであればコメントに買った経緯を投稿して欲しい。

らくらく

友達の家で、誰かから借りた「スペランカー」をプレイしていた記憶、、。

改めてプレイしてみる

記憶を頼りに検証するのも心許ないので、改めてプレイしてみた。

改めてプレイしてみると、操作性も悪くなく、「ちょっとした段差で死ぬ」こともそんなに気にならない。シンプルなグラフィックも一周(いや4周くらい)回ってポップさすら感じる。

常に緊張感を強いられるプレイもとても楽しい。ちょっとした段差、リフトへの乗り移り、そんなに深くもない穴、、、。
ほぼ全てのプレイに集中力を要求される。集中力を鍛えるのに良いかもしれない。

特にコウモリのフン爆弾の爆風はかなり広範囲に当たり判定が設定されているため、「避けた」と思っても被弾してまうので要注意だ。

改めて全体を見てみると、ステージギミックも多彩であり、隠しアイテムの存在が「洞窟を探検している」という感覚を強めてくれる

そして「タータッタタラララ タータッ、タッ、タター」というあの音楽も冒険感を最高に高めてくれる。

正直言って今プレイしてみても全く「クソゲー」感は無い。純粋に楽しいアクションゲームだ。

Good Point

多彩なギミックと溢れる緊張感
シンプルでポップグラフィック
軽快かつ冒険心を煽られる音楽
各所に隠れているお宝アイテム
周回要素(256周とかあるらしい)

Bad Point

しばらく考えてみたけれど、思いつかない、、、どこか悪いところあります?

結論:やっぱり「スペランカー」は名作

実際にプレイしてみたが、スペランカーは「クソゲー」なんかではなく、完全な「名作」と言っていい。
なぜ「クソゲー」と呼ばれていたかに関しては、当時の状況を加味してもあまりにも脆弱な主人公に対する「ネタ」的な愛情を込めた呼び名だと思われる。

「史上最弱の主人公」「クソゲー」というレッテルを貼られたからこそ、発売から40年が経つ2025年においても思い出される作品として残ったということもあると思う。
これからも「クソゲー」呼ばわりされながらも愛されていって欲しい。

今「スペランカー」をプレイするなら

アプリ(iOS)版が気楽ではあるが、、、注意点あり

久しぶりにプレイしてきたくなった人もいるのではないでしょうか?

「スペランカー」はこれまでファミコンやアーケード、Wii、Wii U、3DSなどに移植されてきたが、現時点だといくつかプレイする方法はある。

プレイ環境  特徴 イマイチな点
まいにちスペランカーアプリ版。無料なので始めやすい。
オリジナルに加えて追加ステージもある。
スマホの画面上での操作なので、難しい操作がさらに難しくなる。
オリジナルの音楽が実装されていない。
レトロフリークファミコン互換機なのでオリジナルのカセットが使用可能。
ソフトからデータを抜き出してプレイできるので、ファミコンソフトをコレクションするには最適
特になし
ファミリーコンピューター言わずと知れたオリジナル版。
実機でしか味わえないプレイ感覚
正常稼働する本体に加えて、ブラウン管テレビもしくは変換ケーブルが必要。

まいにちスペランカー

!https://s.pximg.net/source/dic/images/icon_edit_partial.svg?20120424

アイレムから版権を引き継いだTozai Gamesがアプリ版を発売。以前はAndroid版も配信されていたようだが、2025年現在はiOS版だけになっている。

基本無料でプレイできるようになっており、広告を見ればコンテニューなどもできるようになっている。無料でプレイできる回数は限りがあるが、時間経過で回復する。
そもそも緊張感が高いのでそんなに続けてやろうと思わないのだが、、

有料版(600円)を買えば、回数制限もなくなる。

ただ、あの特徴的な音楽が流れない(版権の関係だろうか?)のは残念なポイントだ。あの音楽があってこそのスペランカーだからだ。音楽も含めてオリジナルを楽しみたい場合は後述するレトロフリークなども検討の余地がある。

追加ステージ

なんと追加ステージが3つも加えられている。ファミコンそのままのグラフィックで純粋な追加として作られているので、プレイしていても特に違和感なく楽しめるものとなっている。

スマホの画面上に表示されるボタンを操作するので、緊張感のある操作にさらに不便さが加わるのだが、体が覚えているせいか意外と自然にプレイできるので、ぜひ試してみて欲しい(無料だし)

レトロフリークを買うのもあり

スマホの操作は微妙だなとか、オリジナルの音楽がやっぱり欲しいとか、大きな画面でプレイしたい方は「レトロフリーク」を買うのもありだ。

レトロフリークとは?

*「レトロフリーク」**は、サイバーガジェットから発売された多機能レトロゲーム互換機。ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイシリーズなど、11種類以上のレトロゲームカートリッジに対応しており、これ一台でさまざまな懐かしの名作を楽しむことができる。

HDMI出力に対応

RFケーブル(懐かしい)を使用しなくても良い。簡単で楽だ。

ゲームデータをインストール可能

一度ゲームからデータを吸い出せばカートリッジなしでもプレイ可能。SDカードにも保存できる。

なんとなく「規約的に大丈夫かな?」気になった方もいると思うが、あくまで個人向けに使用する分には問題ない。昔のゲーム1MBにも満たないものばかりなので、SDカード1枚で数百本ものゲームを保存することができる。

どこでもセーブ機能もあるので、鬼畜難易度のゲームでも少しずつ進めることができる。チート機能が使えたり、コントローラーもUSBで気に入ったコントローラーが使える。

メルカリなどでソフトを買ってまたリリースすれば、大して元手も掛からずソフトを揃えることも可能だ。
数百を超えるソフトを手元で簡単に選んで遊べるのは爽快だ。

ガチ勢はやっぱり実機(ファミコン)…!!?

簡単便利なレトロフリークも最高だが、実機、つまりファミコンでないとできないことがある。

それは 「ブラウン管のにじみ再現」 だ。

ファミコン時代のゲームは、当時主流だった ブラウン管テレビ での表示を前提に作られていた。

現在の液晶ディスプレイではくっきりしすぎてしまうドット絵も、ブラウン管では色が微妙ににじみ、輪郭が柔らかくなり、独特の風合いが生まれる。

また、遅延の少なさ も実機の魅力だ。液晶ディスプレイではフレーム遅延が発生することがあり、コンマ何秒のタイミングが重要なアクションゲーム では命取りになる。
特に『スペランカー』のようなシビアなゲームでは、実機とブラウン管でなければ正確なプレイ感が再現できない

さらに、ファミコン実機ならではの カセットを差し込む感触、電源を入れた瞬間の緊張感、たまに起動しないカセットをフーフーする儀式…… これらの体験そのものが、レトロゲーマーにとってはたまらない。

当時の空気感やプレイフィールを楽しみたいなら、やっぱり実機が最高。ファミコンの本当の魅力を味わいたいなら、ブラウン管とセットでのプレイが最強 …..!

動作可能なファミコン本体+ブラウン管テレビもメルカリで手に入るので、準備するのもそんなに難しくはない。
メルカリで「ファミコン」を検索する

当時の空気感をそのまま味わいたいなら実機+αを揃えてみるのも一考だ。

余談

筆者はこのスペランカーをクリアしたことがある。

クリアしたのは子供の頃ではなく、膨大な時間を持て余していた大学生時代だ。
サークルの部室にスペランカーが置いてあったので、暇さえあれば(暇しかなかったが)プレイを重ねてクリアしたのだ。
5・6周目まで進めることができたが、だんだんアイテムが手に入りづらくなり、道中のボムやコウモリを倒すピストル?みたいなものが足りなくなって先に進むことができなくなってしまった。

「子供の頃にクリアできなかったゲームも、大人になったらクリアできる」と知った貴重な経験だった。
これからあなたが改めて「スペランカー」をプレイするなら、まずは1周目をクリアし、何周目まで行けるのかぜひチャレンジしてほしい。

タイトル スペランカー
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売日 1985年12月7日
定価 4,900円